連絡先
九州大学大学院農学研究院
農業資源経済学部門
環境生命経済学研究室
教授 矢部 光保
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アクセス
〒819-0395
福岡市西区元岡744
00845307
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社会連携

 地元の福岡市では、福岡市農業振興審議会委員、福岡市環境・エネルギー戦略有識者会議委員、福岡市生物多様性ふくおか戦略(仮称)策定検討委員会員をとして活動しています。

 九大の新キャンパスと関係の深い糸島市は、福岡県内最大の畜産地帯ですが、特に、養豚業の畜産廃棄物処理に関する費用と処理水の排出問題、さらに豚舎や堆肥舎などの臭気対策に、畜産農家は苦慮しています。養豚糞尿消化液は、適切に利用するならば、化学肥料の代替ができるので、畜産農家、耕種農家とも利益があります。しかし、液肥散布には周辺住民の合意形成が必要であり、そのためには環境教育等による取組が有効であると知っていながら、実践事例は少ないのが現状です。また、液肥の生産、耕種農家への搬出・散布には地元農協の協力が不可欠ですが、関係者の調整は一般に多くの労力を要し、簡単ではありません。そこで、糸島市から糸島市九州大学連携助成金を得て、この問題への解決方策を研究しています。

 また、畜産廃棄物ついては、2010年度から中国江蘇省金壇市の要請を受け当地で、養豚家畜ふん尿由来のメタン発酵消化液について、その有効利用に関するJICAプロジェクトを実施しました。これまで、廃棄され環境汚染をもたらしてきたメタン発酵消化液について、成分分析の後、肥培管理計画を立てた試験区では慣行栽培区よりもの水稲の収量が9%増加しました。次年度には、それを受けて消化液利用農地はゼロから13ヘクタールに増加するとともに、さらに小麦やナタネへの利用が拡大しました。また、地元小学校の協力を得て循環授業や生き物調査を実施して、地元の農家に消化液や循環農業への理解の浸透を図りました。2011年9月には、江蘇省農業博覧会の特別セッションで、プロジェクトの成果を報告するなどして、当初の目標以上の成果を修めました。現在は、その社会的影響や環境改善効果を科研費のプロジェクトで評価してるところです。

 福岡県築上町とは、密接な協力関係をもって、研究教育を進めています。築上町は、コメを原料としたバイオエンタノール製造に熱心であり、そのため、築上町で、バイオ燃料製造施設検討委員会委員長をはじめ、築上町米燃料化委員会委員、同バイオエタノール燃料地域協議会委員を務めると同時に、コメ由来バイオエタノール普及のための研究を行ってきました。また、同町は、し尿由来の液肥利用では、我が国で最高水準の技術と実績をもっています。そこで、同町で培われてきた液肥利用の知見を経験を、我が国はもちろん東アジア諸国に普及するための研究を行い、その成果の一つとして、中国金壇市におけるJICAプロジェクトが実施されました。

 朝倉市に現存する三連水車は日本最古の実働する水車として、また夏の風物詩として全国的にも有名です。1990年にはその歴史的・文化的価値が評価され、堀川用水とともに国の史跡にも指定されました。今から220年前に地元の人たちが努力と苦心を重ね続けることにより完成した水車は現在でも、全7基の水車で1日20,400tの水を35haの水田に潤し続けています。この水車群を管理する山田堰土地改良区や市民の有志らとともに、朝倉市の水車群と堀川用水、山田堰を含め、貴重な文化遺産や地域独自の生物多様性を含め、世界農業遺産への登録と地域振興に向けた取組を実施しています。